POLICY

広告・投資勧誘の基本方針

【はじめに】

 不動産投資は資産形成のニーズの高まりに対応し、個人向けの投資、資産形成商品として周知、広がりを見せています。
 われわれ投資用不動産を供給する事業者は、不動産投資市場の中核的な担い手として、良質な不動産ストックの形成を促進し、魅力的な都市・地域の創造を担う役割も担っております。
 実際、近年、多数の個人投資家の参画に伴い、不動産投資の市場規模も拡大しており、不動産投資市場の社会的な認知も益々高まってきております。
 それに伴い、投資用不動産を供給する事業者の社会的な責任も高まっており、業界として今後も持続的な発展を遂げていくためには、業界の健全性の向上、業界の信頼産業としての発展が、今まで以上に求められています。
 実際、令和2 年12 月15 日には賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律、いわゆるサブリース法の規制措置部分が施行され、誇大広告や不当勧誘の禁止の他、リスク等についての重要事項説明義務が法律で明記されることとなりましたが、このような立法の動きは、今、業界としての健全性の更なる向上が、極めて強く求められていることのあらわれといえます。
 そのため、業界として、宅建業法やサブリース法等の法令遵守はもとよりコンプライアンスの徹底、顧客の視点に立った業務の透明化や接遇意識の向上、携わる者の資質向上、人材育成の一層の推進、業務の適正化、トラブルの防止に向けた体制の充実などを図っていくことが肝要となります。
 特に営業活動の中心となる広告と投資勧誘については、これを適正に行うことが強く求められます。
 広告と投資勧誘の前線に立つ営業部門および営業員としては、投資家の保護と信用の向上を図ることをその基本姿勢とし、法令ならびに諸規則の趣旨、目的を正しく理解し遵守するとともに、高い社会常識、倫理観を持ち、プロフェッショナルとして誠実に業務に携わることが重要となります。
 以上の点を踏まえ、一般社団法人 「新しい都市環境を考える会」として、会員の皆様が広告と投資勧誘をおこなうにあたり広く参考にしていただくことを目的に、「広告・投資勧誘の基本方針」をまとめることといたしました。同方針の作成にあたっては、商品の性質上、宅建業法・サブリース法等の不動産販売における固有の規制のみではなく、金融商品の販売に係る規制にも倣い、これを作成することといたしました。
 広く活用いただき、業界の健全性、信頼の向上に寄与できれば幸いです。


【広告・投資勧誘の基本方針】

(誇大広告の禁止)
1、広告をするときは、下記事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際より著しく優良であり、もしくは有利であるとお客様を誤解させるような表示を行わないこと
 ① 物件からお客様が得られる賃料額、支払期日、支払方法、賃料額の改訂時期、賃料額の減額の可能性及び利回り
 ② サブリース事業者等の行う物件の維持保全の内容、頻度、実施期間等
 ③ 物件の維持保全の費用を負担する者及び費用の負担割合
 ④ サブリース契約を締結する場合、サブリース契約の期間、契約更新時期、借地借家法28 条に基づく更新拒絶の要件
 ⑤ 物件の将来の価格

(適合性の原則)
2、お客様の知識、経験、財産の状況及び投資目的に照らし、お客様の意向、実情に応じた適切な情報提供、投資勧誘を行うよう努めること

(リスク説明)
3、お客様に商品やリスクの内容(特に下記事項)など重要な事項をわかりやすく説明し、十分に理解して頂けるよう努めること
 ① お客様が得られる賃料収入は減少するリスクがあること
 ② 賃借人が現れない等の事情によりお客様が賃料収入を得られない期間が生じる可能性があること
 ③ お客様が物件のサブリース契約(賃貸借契約)を締結した場合でも、
  ⅰ賃貸借契約期間中にサブリース事業者から契約を解除される可能性があること
  ⅱサブリース事業者から賃料の減額を求められる可能性があること
  ⅲお客様がサブリース契約の解約や更新拒絶をする場合には、借地借家法28 条所定の正当事由が必要とされ、サブリース事業者に対する金銭の支払が必要になる可能性があること
 ④ お客様に物件の維持保全費用(固定資産税・都市計画税、共用部分の管理費・修繕積立金、専有部分の修繕費用等)の負担が発生すること
 ⑤ 物件価格は将来低下する可能性があること

(正確な情報提供)
4、お客様の誤解を招くことのないよう、断定的判断の他、故意に事実を告げない行為、故意に不実のことを告げる行為等(具体例は下記のとおり)、不適切な勧誘は行わないこと
 ① 上記1 で列挙した各事項について、当該事項を告げない、又は事実と違うことを告げること
 ② 上記3で列挙した各事項について、あえて伝えず、メリットについてのみを伝えること
 ③ サブリース契約に関して、家賃見直しの協議で合意できなければ契約が終了する条項や一定期間ごとの修繕に応じない場合には契約を更新しない条項がある場合に、これらの条項の存在について告げないこと
 ④ サブリース契約において当初の数ヶ月間の借り上げ賃料の支払い免責期間がある場合に、このことについて説明しないこと
 ⑤ お客様に支払われる賃料が減額される場合があるにもかかわらず、断定的に、
  ⅰ「都市の物件なら需要が下がらないのでサブリース賃料も下がることはない」
  ⅱ「当社のサブリース方式なら入居率は確実であり、絶対に家賃保証できる」
  ⅲ「サブリース事業であれば家賃100%保証で、絶対に損はしない」
  ⅳ「家賃収入は将来にわたって確実に保証される」
  等の内容を伝えること
 ⑥ 原状回復費用をお客様が負担する場合もあるにもかかわらず、「原状回復費用はサブリース会社が全て負担するので、入退去で大家さんが負担することはない」等の内容を伝えること
 ⑦ 大規模修繕の費用はお客様負担であるにもかかわらず、「維持修繕費用は全て事業者負担である」等の内容を伝えること
 ⑧ 近傍同種の賃料よりも明らかに高い賃料設定で、持続的にサブリース事業を行うことができないにもかかわらず、「周辺相場よりも当社は高く借り上げることができる」等の内容を伝えること
 ⑨ 近傍同種の賃料よりも著しく低い賃料であるにもかかわらず、「周辺相場を考慮すると、当社の借り上げ賃料は高い」等の内容を伝えること

(自己開示、目的開示勧誘)
5、勧誘を行う際には勧誘に先だって宅地建物取引業者の商号又は名称、勧誘を行う者の氏名、勧誘をする目的である旨を告げずに、勧誘を行うことを禁止すること

(継続勧誘・再勧誘)
6、お客様が契約を締結しない旨の意思を表示した場合に、引き続き勧誘を行い、また、再度勧誘を行うことを禁止すること

(勧誘時間の配慮)
7、迷惑を覚えさせるような時間(お客様の承認を得ている場合等を除き、午後9 時から午前8 時までの時間帯)の電話又は訪問による勧誘を禁止すること

(勧誘の適正の確保)
8、契約の締結をさせ、又は契約の申込の撤回若しくは解除を妨げるために、面会の強要、事実上の拘束をするなどしてお客様に不安の念を抱かせたり、深夜或いは⾧時間の勧誘やお客様が勤務中であることを知りながら執拗な勧誘を行うなどしてお客様を困惑させることを禁止するのは当然のこととして、勧誘の適正を確保できるよう、会員企業は自社の役職員に対し十分な研修を行い、知識、経験、技能の習得に努めること

(不当な勧誘の禁止)
9、お客様に対する物件の勧誘に際して、下記の不当な勧誘を行わないこと
 ① お客様が、生計その他社会生活上の重要な事項に対する願望の実現に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、合理的な根拠がないのに、物件の購入が当該願望の実現に必要である旨を告げること
 ② お客様が、勧誘を行う者に対して恋愛感情をその他好意の感情を抱き、かつ、当該勧誘を行う者もお客様に対して同様の感情を抱いているものと誤信していることを知りながら、これに乗じ、物件を購入しなければ当該勧誘を行う者との関係が破綻することになる旨を告げること
 ③ お客様が、加齢又は心身の故障によりその判断力が著しく低下していることから、生計、健康その他現在の生活の維持に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、合理的な根拠がないのに、物件の購入をしなければ現在の生活の維持が困難となる旨を告げること
 ④ お客様に対して、霊感その他合理的に実証困難な能力による知見として、このままではお客様に重大な不利益を与える事態が生じる旨を示して、その不安をあおり、物件を購入することによりその重大な不利益を回避できる旨を告げること
 ⑤ 勧誘方法の如何を問わず、事業者(A)と事業者(B)との間の明示または黙示の委託契約に基づき、事業者(B)がお客様への物件の説明、契約に向けた取引条件の交渉・調整等の主たる勧誘行為を行った上で、お客様に、事業者(A)から物件を購入させ、また、事業者(A)の提携している金融機関からの融資を受けさせること

(不動産投資ローンの適切な利用)
10、お客様が融資を受けて物件を購入する場合に、下記の不正または不適切な行為を行わないこと
 ① お客様の収入、資力を示す書類(源泉徴収票、給与明細、確定申告書、課税証明書、預金通帳等)の改ざん等を行うこと
 ② お客様が投資目的で物件を購入するにもかかわらず、金融機関に対して自己使用目的であると偽り、お客様に、自己使用目的の物件購入に限定されているフラット35等の住宅ローンの融資を受けさせること

(相談・苦情)
11、販売、勧誘に関するお客様からの相談、苦情には誠意をもって適切に対応すること

【相談・苦情に関する情報共有態勢の整備】

 監督官庁である国土交通省、東京都及び各種相談窓口との連携を図り、相談、苦情の内容を定期的に情報共有することでモニタリングを行います。情報は会の中で共有し牽制を図ることで、再発防止に努める体制を整備します。



不祥事を起こした会員に対する当会としての対応及び措置

1、当会の規約に違反する事態が発生した際の新しい都市環境を考える会としての措置の決定手順
 ① 規約に違反する事態が発生した場合、会員は、自ら、速やかに当会にその内容等について申出を行う。
 ② ①の申出がなされた場合の他、当会の設置する苦情相談窓口に会員の不祥事に関する情報が寄せられた場合、当会は、必要に応じて、定款第9条に関する調査委員会(以下「定款9条委員会」という。)を設け、当該会員及び関係者から事情を聴取し、必要な事項を調査した上で、当会としての対応および措置について当会の理事会に具申する。
 ③ 定款9条委員会の委員は、代表理事3名(会長、座長および幹事長)と会長が指名する理事3名の計6名で構成するものとし、幹事長が委員長に就任する。
 ④ 理事会は、会員からの申出、苦情相談窓口に寄せられた情報及び定款9条委員会の具申等を参考にして、当該会員に対する対応及び措置を決定する。なお、理事のなかに、当該会員の役員を務める等、当該会員と利害関係を有する者がいる場合、当該理事は、理事会への出席および議決権の行使をすることができない。
 ⑤ 当会は、当該会員に対する対応及び措置を決定した場合、これを公表することができる。

※新しい都市環境を考える会定款(抜粋)
第8条(任意退会)
正会員及び賛助会員は、会長が別に定める退会届を会長に提出し、任意に退会することができる
第9条(除名)
会員が次のいずれかに該当するに至ったときは、社員総会の特別決議によって当該会員を除名することができる。この場合においては、その会員に対し予め通知するとともに、決議の前に弁明の機会を与えなければならない。
(1)本協会の定款、規約または総会の決議に違反したとき。
(2)本協会の名誉を傷つけ、または目的に反する行為をしたとき。
(3)その他除名すべき正当な事由があるとき。
第10条(会員資格の喪失)
前2条の場合の他、会員は次のいずれかに該当するに至ったときは、その資格を喪失する。
(1)解散の決議または破産法に基づく破産手続き開始の申し立てがなされたとき。
(2)1年以上会費を滞納したとき。
第11条(拠出金品の不返還)
既納の会費及びその他の拠出金品は、返還しない。
(抜粋おわり)

2、措置の内容
前項の、理事会が決定する当該会員に対する措置は、次のとおりとする。

※1 会員資格停止の期間は、1ヵ月間から1年間までの期間で決定する。なお、会員資格停止中であっても、当該会員は会費の納入義務を免れない。
※2 当会は、会員からの任意退会の申出を認める他、会員に対して任意退会を勧告できる。
※3 除名に際しては、理事会の決定(決議)の他、社員総会の特別決議を要する。

3、不祥事を起こした会員への要請
当会は、不祥事を起こした会員に対して、企業行動の改善策とその実施状況を報告書にまとめた上で、当会に報告するよう要請し、当該会員はこれに応じて当会に報告をしなければならない。

4、任意退会・除名後の再入会 
当会の措置により会員資格を喪失した元会員からの再入会の申請は、以下の期間は受理しない。
 ① 任意退会した会員:2年間
 ② 除名された会員 :5年間


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